身だしなみに対する社会の寛容性を探る ~ヘアカラー、ネイル、ピアス、ひげ、タトゥー~
2025.10.10
近年、働き方や価値観の多様化が進む中で、身だしなみに対する社会的な寛容性が高まっています。かつては制限されることが多かったヘアカラーやネイル、ピアス、ひげ、タトゥーなども、今では「個性の表現」として受け入れられる傾向が強まっています。
ホーユーが実施した調査では、これらの身だしなみに対する許容度や職場での規制の実態について、生活者のリアルな声が明らかになりました。
- 目次
- ※この記事で出てくる「ヘアカラー」は、地毛よりも明るい髪色や地毛以外の髪色に染める「おしゃれ染め」を指しています。白髪を黒く染めるような白髪染めは対象外となります。
- ※この記事で出てくる「ネイル」は、色やデザインを爪に施すことを指しています。無色の保護ネイルは対象外としています。
- ※この記事で出てくる「タトゥー」は、半永久的な入れ墨とタトゥーシールなどの一時的なタトゥーデザインのどちらも含めています。
ヘアカラーの許容度が最も高く、7割以上が「許容されている」と回答
- 調査対象 : 20~60代男女 480人
- 有効回答人数 : 20代 91人、30代 94人、40代 96人、50代 99人、60代 100人
- 調査方法 : インターネット調査
- (2025年 ホーユー調べ)
調査によると、現在の生活環境(職場を含む)で「すべて許容されている」と回答した割合は、
- ヘアカラー:35.2%
- ネイル:26.5%
- ピアス:25.2%
- ひげ:23.8%
- タトゥー:13.3%
さらに、「すべて許容」「まあ許容」を合わせると、ヘアカラーは7割以上が肯定的。
これは、ファッションや自己表現の一部として髪色を楽しむ文化が広がっていることを示しています。一方、タトゥーは依然として2割程度にとどまり、社会的なハードルが高いことがうかがえます。
就業環境によるヘアカラーの制限は不要、一部緩和していいと考える人が4割
- 調査対象 : 20~60代男女 480人
- 有効回答人数 : 20代 91人、30代 94人、40代 96人、50代 99人、60代 100人
- 調査方法 : インターネット調査
- (2025年 ホーユー調べ)
就業環境による制限については、
「職業を問わず、制限は不要」
「職業によって制限は必要だが、今よりは一部緩和していい」
と考える人がヘアカラーで約4割にのぼりました。
ネイル、ピアス、ひげも同様の傾向を示しており、自由を求める意識の高まりが感じられます。
ただし、タトゥーは「どのような職業でも制限は必要」と答えた人が35%と、他の項目よりも厳しい見方が残っていることが分かります。
若年層ほど身だしなみに寛容な傾向
- 調査対象 : 20~60代男女 480人
- 有効回答人数 : 20代 91人、30代 94人、40代 96人、50代 99人、60代 100人
- 調査方法 : インターネット調査
- (2025年 ホーユー調べ)
20代は全体的に身だしなみに対する許容度が最も高く、特にヘアカラーに対して高い寛容性を示しています。若年層は外見を「個性の表現」として捉える傾向が強く、ファッションの一部として受け入れられていると考えられます。
しかし、20代と30代以降の間には、身だしなみに対する意識に大きなギャップが見られます。これは、職場での立場の変化(管理職への昇格、部下を持つなど)により、職場規範への意識が強まることが要因と考えられます。
特に、40代はタトゥーに対する許容度が最も低く、社会的な立場や職責が増す世代で「信頼性」や「誠実さ」を重視する傾向にあり、タトゥーに対して従来の価値観に基づく否定的な印象を持つ人が多いと考えられます。
ヘアカラー、ネイルは年代が上がるにつれ許容度が下がっており、高い年代の人ほど「清潔感」や「控えめ」という印象を重視する従来型の職業観が根強く残っていることがうかがえます。
これらから、若年層ほど個性を重視し、中高年ほど規律重視だといえるでしょう。幅広い世代が協働する職場では、この価値観の違いが摩擦を生む可能性もあるため、価値観を共有したり話し合う場によって、多様性を育むことが必要かもしれません。
特に、若年層の採用を重視する企業では、身だしなみに対するルールを見直すことが、「自分らしく働ける会社」という印象づくりにもつながります。
職業やシーンによって、ヘアカラーの許容度は異なる
- 調査対象 : 20~60代男女 480人
- 有効回答人数 : 20代 91人、30代 94人、40代 96人、50代 99人、60代 100人
- 調査方法 : インターネット調査
- (2025年 ホーユー調べ)
職業やシーンによって、ヘアカラーへの寛容度には大きな差が見られます。
学生やサービス業など日常的な場面では、7割以上が「気にならない」と回答し、自己表現の自由が広く受け入れられています。
一方、弁護士や銀行・金融関係などの専門職では、「かなり気になる」と答える割合が2割近くに達し、信頼性や職業倫理を重視する業界では依然として慎重な姿勢を求める人が多いことがわかります。
このように、身だしなみの自由度は職種や業界によって異なるものの、全体としては「個性の尊重」へと社会の意識がシフトしていることがうかがえます。
身だしなみは「個性」と「信頼」のバランスへ
今回の調査から、身だしなみに対する社会の寛容性が着実に広がっていることが明らかになりました。特にヘアカラーは、自己表現の手段として広く受け入れられつつあります。
企業としては、こうした価値観の変化を踏まえ、従業員が自分らしく働ける環境づくりを進めることが求められています。
ホーユーは、すべての人が「自分らしさ」を尊重される社会の実現に向けて、製品開発と情報発信を通じて貢献していきます。