「環境彩りビジョン」でつくるサステナブルな未来 ホーユーの環境保全への取り組みとは
2025.02.26
私たちの暮らしに大きな影響を与えている気候変動
ホーユーは2030年までにCO₂排出量を2021年比で42%削減する目標を掲げ、環境保全に力を入れています。その取り組みの中心となっているのが『イキイキ・ワクワクビジョン2030』の「環境彩りビジョン」です。このビジョンはどのような背景のもとに策定され、具体的にどのような取り組みを行っているのか。生産本部生産統括室 ミッションディレクターの小島久幸さんに詳しく話をうかがいました。
生産本部生産統括室 ミッションディレクター
小島 久幸さん
経営企画室在籍時に、ホーユーが2030年までに実現したいビジョンを定めた『ホーユーグループ イキイキ・ワクワクビジョン2030』の策定に参画。「環境彩りビジョン」の社内浸透と実現に向け、ロードマップの立案や施策の推進に奔走中。
ホーユーがCO₂削減に力を入れる理由
———ホーユーは現在、全社を挙げてCO₂の削減に取り組んでいます。その背景について、改めて教えていただけますか
私たちがCO₂排出量の削減に取り組むのは、グローバル社会の一員として、誠実な活動を貫き、未来への責任を果たしていきたいと考えているからです。
多くの方が実感されていると思いますが、気候変動は私たちの日常生活に大きな影響を与えています。例えば、日本では夏の平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、猛暑日の記録が毎年のように更新されています。「数十年に一度」と呼ばれる自然災害が相次いでいます。
こうした問題は、放置しても自然に改善することはありません。地球に暮らす私たち一人ひとりが、解決に向けて行動を起こすことが求められています。ホーユーも、社会からの要請に応え、責任を果たすために具体的なアクションを推進していきます。こうした想いのもと、2023年には経営層を中心に『イキイキ・ワクワクビジョン2030』の中で「環境彩りビジョン」を策定し、ホーユーグループ全体で環境保全に取り組んでいます。
———具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか
私たちは、大きく2つのテーマに沿って取り組みを進めています。1つ目は「気候変動対策」です。この分野では、パリ協定を踏まえ、CO₂排出量を2030年までに2021年比で42%削減するという目標を掲げています。その達成に向け、まず取り組んだのは現状の把握です。海外拠点を含むホーユーグループ全体のCO₂排出量を正確に把握できる仕組みを構築し、目標とのギャップを可視化しました。
現在は、そのギャップを埋めるために「省エネ」「創エネ」「再エネ」を組み合わせた具体的な施策を検討・推進しています。例えば、「環境彩りビジョン」策定以前から注力していた省エネの分野では、オフィスの空調設備を更新する際、消費電力が少なくエネルギー効率が良い機材を導入。また、クールビズの導入、照明のLED化、社用車の台数最適化とハイブリッド車両・PHV車両の導入など、さまざまな施策を実施しています。創エネでは、事業活動で使用する電力を自社内で生み出す取り組みを進めています。2024年には、タイ工場の屋根に太陽光パネルを設置。愛知県の桜が丘工場でも同様の計画を進めており、2025年度内の稼働開始を目指しています。
———2つ目のテーマと取り組み内容についても教えてください
2つ目のテーマは、「資源循環・自然共生」です。製品の機能や利便性を維持しつつ、可能な限り環境に配慮された原材料を使うこと、廃棄物の削減・再利用を推進することで、ヘアカラー製品の製造・販売フローの最適化に努めています。
例えば、ヘアカラー剤のアルミチューブ用キャップや美容室向け詰替え製品のノズルキャップのサイズダウンを行ったことで、プラスチックの使用量を削減しました。また、詰め替えることで繰り返し使えるポンプや容器を採用し、エコで経済的な製品もラインナップしています。
■サイズダウンキャップ
■つめかえ・付け替え製品のラインナップ
また、ホーユーでは、お客様がカラーの仕上がりイメージを想像していただけるように、これまでドラッグストアなどの店頭にプラスチック製の毛見本を設置していました。現在は、AI・AR技術を活用した髪色シミュレーションサービスを提供し、お客様が自身の髪色の変化をよりリアルにイメージしながら製品を選んでいただくことができるようになっています。この取り組みもプラスチック使用量の削減に貢献しています。
- 取り組みについて詳しくはこちら
グループ全体へのビジョン浸透に向けて
———そうした取り組みの強化・実現には、「環境彩りビジョン」の社内浸透がカギを握るのではないでしょうか
そうですね。私たちもそのように考え、グループ全体にビジョンを浸透させるべく、さまざまな施策を行っています。
『イキイキ・ワクワクビジョン2030』が完成した直後には、全拠点でビジョン説明会を開催しました。ビジョンに込めた想いを佐々木社長自らが社員一人ひとりに語りかけることで、理解の浸透を図りました。
現在は、ビジョンの実現に向けた中期経営計画を策定し、その内容をもとに関連部門が取り組むべきことを定め、業務へと落とし込む作業を行っています。ビジョンを個々の業務に反映させることは容易ではありません。しかし、時間をかけてでも、「自分たちに何ができるのか」を考え、議論し、着実にアクションへとつなげていくことが重要だと考えています。そうした取り組みを積み重ねながら、環境対策に取り組む仲間の輪をさらに広げていきたいと思っています。
———ビジョン達成に向けて、何が必要だと思いますか
ビジョン実現に向けた取り組みに終わりはありません。ビジョンと現在地の差分を常に意識し、時には軌道修正を行う必要があると考えています。また、最近では、国際的な環境政策が変動するなど、社会情勢は刻々と変化しています。その時々にふさわしい環境対策のあり方を模索しながら、取り組みを進めていくことが大切だと感じています。
子どもたちの未来のために。環境対策への想い
———「環境彩りビジョン」の浸透と達成に向けて尽力されている小島さんですが、もともと環境問題への関心は高かったのですか
私はホーユーに新卒で入社して以来、総合研究所で包装資材の開発に15年ほど携わってきました。その仕事の中で「環境対応」は重要なテーマの一つであり、自然と環境への意識が高まっていったように感じています。
また、子どもが生まれたことも、持続可能な社会について考える大きなきっかけとなりました。便利で豊かな社会を次世代にも受け継いでいかなければならないと強く思ったんです。金銭的な豊かさだけでなく、自然環境をはじめとする社会のあらゆる側面に配慮しながら事業活動を展開しているホーユーの姿勢に、私は大きく共感し、誇りを感じています。私自身も、ミッションディレクターとしての使命を果たし、環境彩りビジョンの実現に貢献していきたいです。
———社会への影響の大きさを考えると、非常にやりがいのあるお仕事ですね
やりがいは非常に大きいと感じています。今後も社内の各部門と連携を深めながら、取り組みを進めてまいります。さらに、環境問題や社会課題の解決に向けた活動の輪を広げるためにも、取引先や自治体など社外の方々とも協力していきたいと考えています。誰一人取り残さない社会の実現に貢献できるよう、持続可能な事業活動の基盤を整え、その中で生み出された製品・サービスがお客様に喜ばれることを目指しています。この理想を追い求めながら、これからも目の前の業務に全力で取り組んでいきたいと思います。
会社の成長と地球環境保全の両立を目指す
———今後の展望をお聞かせください
ホーユーが今後もグローバルに事業を展開していくためには、社会からの要請に真摯に向き合い、それに応え続けていくことが不可欠です。『イキイキ・ワクワクビジョン2030』を掲げながら、持続可能な社会・地球環境を目指し、私たちにできる取り組みを着実に実行していきたいと考えています。
特に環境対策は、気候変動が深刻化する中で決して先送りできない課題です。環境保全活動には一定のコストが伴います。企業としては成長や利益を追求することも重要ですから、ホーユーとして事業を拡大しながらも、CO₂や廃棄物の排出量は削減すること、持続可能な成長を実現することが求められます。予測困難なVUCA時代において、環境対策と企業活動の最適なバランスを見出すことは容易ではありません。事業成長と環境保全の両立を目指し、その価値を社会に発信しながら、ホーユーの企業価値向上とより良い社会の実現を目指していきます。
あとがき
とても和やかな雰囲気の中で行われた今回の取材。小島さんにホーユーの環境対策の全体像を語っていただき、ホーユーが今、企業としての成長を見据えながらも、環境保全に向けた取り組みに大きな力を注いでいることを実感できました。お子さんの誕生をきっかけに、持続可能な社会について深く考えるようになったという小島さん。現在の仕事に対して「やりがいは大きい」と力強く言葉を紡いでくださった姿が印象的でした。小島さんの思いや熱量は、社内外に環境対策の輪をさらに広げるきっかけとなるように思います。