ヘアカラーが不安な方にも 髪の彩りを届けるために! COLORu ブランド立ち上げストーリー

ヘアカラーが不安な方にも 髪の彩りを届けるために! COLORu ブランド立ち上げストーリー

ヘアカラーアレルギーをご存知でしょうか。「パラフェニレンジアミン」や「トルエン-2,5-ジアミン」といったジアミン系染料が主な原因で、かゆみや発疹などが主な症状としてあらわれます。このアレルギーを一度発症すると、その体質は一生続くとされ、ヘアカラーアレルギーを抱える方は「もう髪を染められない」と諦めざるを得ない状況に置かれてきました。

そんな中、ホーユーでは長年研究を重ね、ジアミン系染料の代表成分を使わない革新的な白髪染め技術を開発。

2021年、「COLORu(コロル)」というブランドとして、ジアミン系染料の代表成分を使わない白髪染めの販売がスタートしました。


今回、ブランドのコンセプト設計などに携わった鈴木萌美さんと、2025年4月のリニューアルで商品改良に携わった小林紗也さんにインタビューを実施。2人が「COLORu」にかける思いに迫ります。

鈴木 萌美さん

総合研究所 先端技術研究室

鈴木 萌美さん

2013年入社。入社後5年間はコンシューマー向け商品企画部門で「ビューティーン」や「ビゲン」などのブランドを担当。その後、新規事業企画室に異動し、2020年からCOLORuのブランド戦略、販売体制構築、顧客対応まで幅広く担当している。

小林 紗也さん

総合研究所 製品開発第1研究室

小林 紗也さん

2018年新卒入社。入社1年目は瀬戸工場で生産技術に従事。その後、製品開発研究室に異動し、カラートリートメントやヘアマニキュアなどの化粧品染毛料の開発を経験。2023年から酸化染毛剤の開発部署に移り、COLORuのリニューアルを担当。

新ブランド「COLORu」に込められた想い

———「COLORu」というブランドは、どのような経緯で誕生したのでしょうか?

鈴木:ヘアカラーアレルギーの主な原因となるのは、「パラフェニレンジアミン」などのジアミン系染料です。多くのヘアカラー製品に含まれているこの成分は、一度アレルギーを発症すると一生その体質が続くと言われています。

こうした課題に向き合い、ホーユーの研究チームがたどり着いたのが、ジアミン系染料を使わずに髪を染めるという新技術です。
偶然の発見をきっかけに生まれたこの技術は、染まりや色持ちといった仕上がりにも妥協せず、なおかつ多くの方に使用いただけるヘアカラーを目指して改良が重ねられました。
さらに、厳密な品質確認などを経て、ようやく製品として世に出せる段階に至ったのです。


しかし、そこで新たな壁が立ちはだかりました。それは「この画期的な商品を、どうやって必要な人に届けるか」ということ。
この新技術を用いたヘアカラーは色のバリエーションや価格帯も従来品とは異なります。ヘアカラーに不安を持つ方々へ直接お届けしたいという考えから、通常のドラッグストアでの販売は向かないと感じました。
そこで私たちは、ブランドのコンセプトから販売方法、お客様との関わり方までを含めて、すべてゼロから新たに構築することを決意しました。その結果生まれたのが、新ブランド「COLORu(コロル)」なのです。


———ブランド名「COLORu」に込められた想いを教えてください

鈴木:「COLORu」という名前には「Color for You」、つまり「あなたのためのヘアカラー」という意味が込められています。
ヘアカラーで困っている方々に、再び「髪を彩る喜び」をお届けしたいという想いから、このブランド名を付けました。

ブランドコンセプトも「髪を彩る喜びを」というものを掲げ、すべての方々に、新たな選択肢を提供したいと考えています。単に商品を販売するのではなく、お客様一人ひとりと直接つながれるような距離感を大切にしたブランドを目指しています。

    

慎重に築き上げた販売体制


———販売方法について、独自のアプローチをとったそうですね。

鈴木:COLORuの販売は、最初から非常に慎重にスタートしました。2021年12月の発売当初は、電話カウンセリングを受けた方にのみ商品を販売するという、あえて高いハードルを設けた方法を採用していたんです

具体的には、まずウェブサイトからカウンセリングの予約を申し込んでいただき、電話で現在のお悩みやこれまで使われてきたヘアカラー商品について詳しくヒアリング。
その上で、COLORuの特性や使用上の注意点を丁寧にご説明し、ご納得いただけた方にのみ販売する、という流れでした。



鈴木:ヘアカラーアレルギーに不安を持たれている方は、これまでに多くの商品を試し、期待と落胆を繰り返してこられた方がほとんどです。だからこそ、私たちは軽はずみな提案や販売は決してしたくありませんでした

さらに、商品としても、ヘアカラーアレルギーが100%出ないものではないため、使用にあたっては正しい情報提供が不可欠です。本当に困っている方に対して、適切な形で説明をして、商品を販売するにはどうしたらいいか。それを考えたときに出てきたのが、こうした丁寧なアプローチだったのです。


電話カウンセリングは当時、私を含めた計3名で対応していました。お客様一人ひとりのお話に丁寧に耳を傾け、できる限りのアドバイスをさせていただく。このプロセスを通じて、COLORuに関心を持ってくださる方々が、どんな不安や背景を持っているのか、私たち自身も深く理解することができました。


———その後、ブランドは発展していったのでしょうか?


鈴木:電話カウンセリングを約半年間続けた結果、一定の安全性やお客様の反応が確認できたタイミングで、販売の間口を段階的に広げていきました。まずはカウンセリングを希望制に変更し、必要な方のみご利用いただける形にしました。


2024年7月よりECサイトをリニューアルし、現在では一般的な通販サイトと同じように、カートに商品を入れて購入できる仕組みを整えています。ただし、安全性を最優先に考え、ヘアカラーアレルギーだと診断されたことがある方、ヘアカラーアレルギーの症状がある方については、現在もご購入をご遠慮いただいています。どんなに利便性が高まっても、真摯な姿勢でお客様と向き合う姿勢は変わっていません

COLORuでは、商品の梱包から発送までを、すべて社内の担当者が直接行っています。一つひとつの商品を丁寧に梱包し、お客様のもとへお届けすることで、開発からお客様の手元に届くまでの全工程に責任を持って関わる体制を構築しています。


一般的な商品では、開発・販売・物流などの業務が専門部署ごとに分かれていることも多いですが、COLORuではブランドの立ち上げ当初から、こうした工程を少人数で一貫して担ってきました。その結果として、お客様からのご感想や喜びの声が直接私たちの元に届きやすくなり、商品やブランドをより良くしていきたいという意識にも自然とつながっています。

    

基礎技術から製品化への技術的挑戦


———基礎研究で発見された技術を、実際にお客様が使える商品にするまでには、どのような課題があったのでしょうか?

小林:基礎研究チームから引き継いだ技術は、確かに染毛効果は得られるものの、刺激が強いという大きな課題がありました。
濃く染まるという性能を優先した処方だったため、「染まるけれども刺激が強い」という、いわば荒削りな技術だったのです。

私たちの部門に課せられた使命は、この基礎技術の革新性を損なうことなく、お客様に安心してご使用いただけるレベルまで洗練させることでした。特に、低刺激性を実現しながらも、十分な染毛効果を維持するという、極めて難易度の高いバランスを追求する必要がありました。


———具体的にはどのような改良を行われたのでしょうか?

小林:長年のヘアカラー開発で培った知見を活かし、成分の配合バランスを一から見直しました。
刺激を抑えるための成分選定、配合量の最適化、pHバランスの調整など、安全性を最優先に考慮しながら処方の改良を重ねていきました。


さらに、実際の使用環境に近い条件での検証にも力を入れました。たとえば、私たち開発担当者自身が刺激の強弱を確認するなど、実感を伴う形での安全性評価も積極的に実施しました。
こうした地道な試行錯誤と徹底した検証を積み重ねることで、基礎技術の革新性を活かしつつ、お客様に安心してお届けできる商品へと仕上げることができました。

お客様の声に応えるために。2025年4月にリニューアル

———2025年4月に実施されたリニューアルについてお聞かせください。

小林:発売後、お客様からいただく声で最も多かったのが「染まりをもっと良くしてほしい」「色持ちを向上させてほしい」というご要望でした。
自分に合っていることを喜んでいただける一方で、従来のヘアカラーと比較すると染毛力や色持ちの面で物足りなさを感じていらっしゃる方が多くいらっしゃいました。

鈴木:実際にご使用いただいたお客様からの「もう少し染まりが良ければ」というお声は、私たちにとって貴重なフィードバックでした。


———リニューアルでは、具体的にどのような改良が行われたのでしょうか。

小林:お客様のご要望にお応えするため、染毛力と色持ちの向上を最優先課題として取り組みました
ただし、COLORuの最大の特徴である低刺激性とジアミン系染料の代表成分を使用しないことは絶対に損なうことはできません。この制約の中で性能向上を実現するのは、技術的に非常に難易度の高い挑戦でした。

具体的には、染料やアルカリ剤の量、配合バランスなど、あらゆる条件を精査しながら処方を調整しました。ダミーの毛髪を用いた染毛試験を繰り返し、洗髪による色落ちの耐久性も検証しました。
さらに、社内の社員に協力を仰ぎ、モデルテストを通じて実際の使用感や仕上がりを確認しながら、最適な処方を追求しました。


———色の種類についてもリニューアルで変更があったとお聞きしました。

小林:お客様から「もう少しカラーバリエーションが豊富にあれば嬉しい」というご要望も多くいただいていました。しかし、ジアミン系染料の代表成分を使用しない処方では、色の選択肢を増やすことも技術的に困難な課題でした。

通常のヘアカラー商品では、ジアミン系染料の働きにより幅広い色みの表現が可能ですが、当商品のようにジアミン系染料の代表成分を使用しない場合、使用できる染料も限られており、色みの調整に大きな制約があります。

そうした制限の中でも、処方や染料の配合に関する知見を一つひとつ積み重ねることで、「この条件であればこのような発色になる」という理解を深め、新たな色調の実現に至ることができました。


———開発で特にこだわった点はありますか?

小林:お客様が実際に使用される際の条件を、可能な限り忠実に再現することを重視しました。たとえば、クリームのテクスチャーは、液垂れを防ぎ、使用中に周囲を汚さないよう調整しています。
また、1剤と2剤を混合した際の発色スピードも重要なポイントでした。発色が早すぎると、お客様が塗布時に焦ってしまう恐れがあります。そのため、適度なスピードに抑えるなど、使い勝手の面でも細部にわたって配慮を行いました


———リニューアル製品への反響はいかがでしたか?

鈴木:リニューアル後の商品に対するお客様からの反応は、非常に良好です。
特に、定期購入コースをご利用いただいているお客様の解約理由を分析したところ、以前は「染まり」や「色持ち」に対する不満が主な理由でしたが、リニューアル以降、そうした声は大きく減少しています
継続率も明らかに改善しており、多くのお客様にご満足いただけているという実感があります。数値として成果が現れていることからも、開発チームの取り組みがしっかりと実を結んだことを実感しています。

「喜びの輪」を広げることを目指して


———美容エディター・毛髪診断士の伊熊奈美さんと開催したセミナーについても教えてください。

鈴木:私たちは以前から、お客様向けにヘアカラーアレルギーに関するセミナーを開催していました。これは、COLORuの宣伝が主目的ではなく、当社の研究所で取り組んでいるアレルギー研究の成果をもとに、お客様にヘアカラーアレルギーについて正しい知識を持っていただくことを目的としています

白髪染めの方法などを発信されている伊熊さんはヘアカラーアレルギーに課題感を持たれる中で、COLORuに大変関心を持ってくださっており、ちょうどリニューアルのタイミングで、より消費者の皆さまに分かりやすく有益な情報をお伝えできるよう、共同でセミナーを企画することになりました。


小林:セミナーでは、商品開発のストーリーについてもお話しさせていただきました。COLORuという商品を全くご存知ない方も多くいらっしゃったので、開発の背景や技術的な特徴についてご紹介したところ、皆さまに興味を持っていただくことができました。


———セミナーでの手応えはいかがでしたか?

鈴木:一般のお客様が、実際に製品を開発した担当者から直接話を聞ける機会は、とても貴重だと思います。開発の裏側やエピソードを交えてお話しすることで、COLORuに対して、より深い興味を持っていただけました。

特にCOLORuのような商品では、「信頼感」や「安心感」が非常に重要ですが、開発担当者から直接お話を聞いていただくことで、「信頼できるブランド」として受け止めてもらえたという手応えを感じています。


———今後のCOLORuの展望についてお聞かせください。

小林:今回のリニューアルを通じて、お客様のご要望により的確にお応えできる商品をお届けできるようになったと感じています。
今後もお客様からのフィードバックを大切にしながら、より良い商品を世の中に提供できるよう、商品開発に努めてまいります。多くの方に、より使いやすく、満足度を高く感じてもらえるような商品を作り続けることが、私たちの使命だと感じています

鈴木:COLORuを通じて、不安なく髪を染める喜びを感じていただけたりする意義の大きさを、私自身もこのブランドに関わる中で強く実感しています。

そのような喜びの輪が、より多くの方に広がっていくよう、今後も努力を続けてまいります。
また、サロンでも同様のお悩みを抱えるお客様がいらっしゃるという声も社内から届いており、新たな販売ルートでの展開も検討しています。
より多くの方に、この喜びをお届けできるよう、今後もさまざまな可能性を探っていきたいと考えています。

  • ヘアカラーを安全にお使い頂くために
  • ※ヘアカラーでかぶれたことのある方は絶対に使用しないでください。
  • ※ご使用の前には毎回必ず皮膚アレルギー試験(パッチテスト)をしてください。

あとがき

COLORuチームは、革新的な技術を「安全と満足」とともに届けるため、丁寧な販売体制を築いてきました。電話カウンセリングや手作業での発送、リニューアル対応など、お客様目線の姿勢が随所に現れています。単なる販売ではなく、すべての方々に寄り添う姿勢がブランドの原動力。技術と思いやりが融合した価値ある商品づくりに強く共感しました。

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