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産後の抜け毛対策とは?原因から正しいケア方法までわかりやすく解説

産後の抜け毛対策とは?原因から正しいケア方法までわかりやすく解説

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「産後に抜け毛が多くなった...」
「抜け毛がひどいけど大丈夫なのかな?」

女性の体に大きな変化を与えるライフイベント、妊娠と出産

家族が増えるうれしい出来事である一方で、産後はホルモンバランスの変化や睡眠不足などにより、体調や肌、髪の状態にも変化が現れやすい時期です。

なかでも多くの方が戸惑いを感じるのが、「産後の抜け毛」。急に髪が抜け始めて不安になる方も少なくありません。

そこで今回は、産後の抜け毛の原因とその対策方法について、MET BEAUTY CLINIC院長・福山千代子先生にお話を伺いました。

ホルモンの仕組みから日常でできるケアまで、専門家の視点でわかりやすく解説します。

目次

産後の抜け毛は「産後脱毛症」と呼ばれる一時的な現象

産後の抜け毛は「産後脱毛症」と呼ばれる一時的な現象

出産後に抜け毛が増える現象は、医学的には「産後脱毛症」と呼ばれています。

妊娠中に高まっていた女性ホルモンは、出産を境に急激に減少します。

その影響で、妊娠中に抜けずに留まっていた髪が一気に抜け落ちることがあり、これが産後の抜け毛の正体です。

産後脱毛症は病気や異常ではなく、からだが妊娠前の状態に戻ろうとする過程で起きる“一過性の生理現象”です。

適切な時期が来れば自然と落ち着いていくものなので、過度に心配する必要はありません。

産後の抜け毛に不安だったママは多い!

「今まで経験したことのない毛量が抜けることに驚いた」という女性はとても多いようです。

実際、産後の先輩ママたちは“抜け毛”を経験したとき、どんなことを感じていたのでしょうか。

LICOLOメルマガ会員さまへ産後の抜け毛体験について聞いてみました!

かかさん(40代)

ただでさえ片付かないのに部屋が髪の毛だらけ。赤子の手に髪の毛が何本も握られててストレスマックス!

きりりさん(40代)

抜け毛は産後3ヶ月くらいから始まりました。洗髪してもドライヤーしてもごっそり抜け寝具やフローリングなど常にコロコロで掃除してました。どんどん薄くなっていくので髪を洗いたくないと思ったり帽子で隠したりしてました。そのうち元に戻るとわかってても夫やママ友に気づかれないかヒヤヒヤした。

バクさん(40代)

フローリングやお風呂の排水溝に、恐怖映画並みに抜け毛があり、自分でもギョッとしました。このまま抜けきってしまうのではないかと、かなり不安になったのを覚えています。

明石さん(40代)

お風呂に入る度泣きそうになりました。日常生活でもはらっと落ちるのでショックでした。

先輩ママたちも、産後の抜け毛には不安やショックを感じたようです。

今、抜け毛で不安になっているママさんも自分だけではないので少しでも安心してもらえると嬉しいです。

産後の抜け毛はいつからいつまで?ピークは?

一時的な現象だと頭では理解していても、毎日のように髪が抜け続けると
「これはいつまで続くの?」
と不安になる方も多いはずです。

実際に産後の抜け毛は、いつ頃から始まり、どれくらい続くものなのでしょうか。

福山先生

抜け毛が多くなったなと実感するのは大体産後1〜2カ月くらい経ってからだと思います。
そこから半年くらいは、産前には経験したことのないような量の抜け毛があるかもしれませんが、この状態がずっと続くわけではありません

女性ホルモンのバランスが安定してくる産後半年〜1年以内には、抜け毛は次第に落ち着いていくとのこと。

焦って不安になりすぎる必要はありません。

福山先生

その心配がストレスになり、抜け毛の量に影響を及ぼすこともあるので、生理現象の一つだと思って抜け毛が終わる時期を気長に待ってみてください

「終わりがある現象」であることがわかれば、今の状態も受け止めやすくなるはずです。

産後の抜け毛はなぜ起こる?原因は何?

産後に増える抜け毛(「産後脱毛症」「分娩後脱毛症」)は、主に女性ホルモンの変化と産後の生活環境によって起こります。

ここでは、産後の抜け毛の原因を詳しく解説します。

産後の抜け毛の原因1. ホルモンバランスの変化

髪の成長サイクルには、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが深く関わっています。

妊娠中はエストロゲンの分泌が増えるため、本来なら抜け落ちる時期の髪が残り、毛量が一時的に増えたように感じられます。

しかし、産後になるとエストロゲンは妊娠前の状態に戻り、それまで留まっていた髪が一気に抜け始めます。

このタイムラグが、産後の抜け毛が目立つ理由です。

福山先生

エストロゲンの分泌量が減ることにより、髪の毛が細くなるという実感をする方もいらっしゃいます

ただ、これは言い方を変えればエストロゲンの分泌が盛んな妊娠期は、本来の毛周期やヘアボリュームではなかったということ。

妊娠中に抜け変わるはずだった髪の毛が、エストロゲンの分泌が通常通りになったことで遅れて抜けているだけなので、過剰に心配することではないそう。

福山先生

体が妊娠前の状態に戻っていく過程で、多くの方が経験します。

産後の女性全員に起きるとは言い切れませんが、私の実感では8〜9割くらいの方が産後脱毛を経験されているのではないでしょうか

産後の抜け毛の原因2. 産後のストレス

産後は授乳や夜間の対応など生活リズムが大きく変化し、知らず知らずのうちに心身のストレスが蓄積します。

福山先生

抜け毛の主要因は、エストロゲン分泌量の変化からくるものですが、こういった心身のストレスも多少寄与しているかもしれませんね

ホルモン変化が主因ではあるものの、ストレスや睡眠不足が抜け毛に影響を与える可能性もあるため、できる範囲で心身を休めることも大切です。

産後の抜け毛対策・ケア方法5選

産後の抜け毛対策・ケア方法5選

産後の抜け毛はホルモンバランスの変化によるもの。

自然に抜け毛が終わる時期を待つこと、抜け毛自体を不安に思いすぎないことが、一番の抜け毛対策と言えます。

しかし、それでも何か少しでも髪の毛によいことをしたいと思いますよね。

産後の抜け毛を経験したことのある先輩ママ達は、産後脱毛期にどのような対策をしてきたのでしょうか?

きいてださん(40代)

頭皮のマッサージや洗い流さないトリートメントなど髪のケアをしました。

カオリさん(30代)

トリートメントをつけて、髪を絡みにくくしておくことで抜けないように対策していました。

ずうちゃままさん(30代)

髪にいいものを食べていました。赤ちゃんに手がかかり食べなくなった魚や海藻、野菜をよく食べるようにして、なるべくよく眠るように心がけました。

のんのんさん(30代)

寝る時にナイトキャップを被って寝ていました。

先輩ママ達のアドバイスを踏まえ、ここからはLICOLO編集部から知っておくと役に立つ産後の抜け毛対策・ケア方法を5つご紹介します。

抜け毛対策1:髪によい栄養素をとる

抜け毛対策1:髪によい栄養素をとる

髪はケラチンというたんぱく質からできているため、まずは土台となる栄養を十分にとることが大切です。

特に意識したいのは、たんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンB群など、髪の成長に関わる栄養素です。

たんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品
・鉄分:レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき
亜鉛:牡蠣、ナッツ類、チーズ
ビタミンB群:まぐろ、納豆、玄米、バナナ

産後は授乳や育児で食事が不規則になりやすく、知らないうちに栄養が偏りがち。

完璧な食事を目指す必要はありませんが、意識して上記のような食材を少し取り入れるだけでも、髪と頭皮の状態を整えることにつながります。

抜け毛対策2:水分をとり、血行促進

抜け毛対策2:水分をとり、血行促進

体内の水分量が不足すると血液がドロッとして流れが悪くなり、頭皮まで十分な栄養が届きにくくなることがあります。

血行が滞ると毛根に必要な栄養が運ばれにくくなるため、水分は抜け毛対策としても意識してとっておきたい要素です。

授乳や家事で忙しく、気づかないうちに水分が不足しがちになるのが産後の時期。

目安として1日2〜3リットル程度を、こまめに分けて摂ることを意識するのがおすすめです。

一度に大量に飲む必要はなく、気づいたときに少しずつ補給する形で十分効果があります。

抜け毛対策3:質のよい睡眠

抜け毛対策3:質のよい睡眠

睡眠中は、成長ホルモンの分泌が促され、細胞の修復や頭皮環境の回復が進みます。

逆に睡眠不足が続くと、自律神経が乱れ、毛根へ十分な血流が届きにくくなるため、抜け毛を助長する要因になることがあります。

とはいえ産後は、まとまった睡眠時間を確保すること自体が難しい時期。

理想は1日6〜8時間ですが、時間にこだわるよりも短くても深く眠れる環境づくりが現実的かつ効果的です。

・授乳や家事の合間の20〜30分の短時間睡眠でも積極的にとる
・就寝前はスマホを控え、照明を落として交感神経を落ち着ける
・心身が休まる動線(湯船・ストレッチなど)は眠りの質を底上げする

ぐっすり長くよりも、上記のように細切れでも深く休む意識に変えることが、無理なくできる産後ケアの一歩です。

抜け毛対策4:過度な産後ダイエットは控える

抜け毛対策4:過度な産後ダイエットは控える

産後すぐに体型を戻したい気持ちは多くの人が抱えるものですが、急激な食事制限や低栄養状態に陥るダイエットは、抜け毛を悪化させる原因になります。

髪の材料となるたんぱく質やミネラルが不足すると、毛根の活動が低下し、新しい髪をつくる力が弱まることに。

「産後の抜け毛」は体が妊娠前の状態に戻る過程で起こる一時的な現象です。

その回復期にさらに栄養を削ってしまうと、髪の再生まで遅れてしまいます。

体重を戻したい場合でも、極端にカロリーを減らすのではなく、栄養バランスを整える方が結果的に近道になりますよ。

産後の抜け毛対策5:髪や頭皮にやさしいシャンプーを使う

産後の抜け毛対策5:髪や頭皮にやさしいシャンプーを使う

産後はホルモンバランスの変化によって、肌や頭皮が普段より敏感になりやすい時期です。

その状態で洗浄力の強いシャンプーを使い続けると、頭皮に刺激が加わり、抜け毛が悪化する原因になることがあります。

シャンプーは低刺激で、洗浄成分がやさしいアミノ酸系シャンプーを選ぶのがおすすめ。

必要な皮脂を残しながら汚れだけを落とせるため、頭皮環境を整えやすく、髪の生え変わりを妨げにくいのが特徴です。

とりあえず今あるものを使い切ってからではなく、抜け毛が気になり始めた段階で切り替えることが、ダメージ予防につながります。

産後の抜け毛が出る時期にヘアカラーしても大丈夫?

産後の抜け毛が出る時期にヘアカラーしても大丈夫?

授乳中や産後のタイミングで「ヘアカラーをしても大丈夫?」と迷う方も多いですよね。

特に抜け毛が増えている時期だと、頭皮や髪への影響が気になるところです。

福山先生

ヘアカラー剤が母乳に影響することはないと考えますが、ご自身の頭皮や頭髪の負担のためにも大量に抜け毛がある時期にはヘアカラーは避け、抜け毛が落ち着いてきた時期から楽しむ方がよいのではないでしょうか。

つまり、授乳への影響は心配しなくてよいものの、抜け毛のピーク期は頭皮が敏感になっているため、ヘアカラーであえて刺激を加えない方が無難という考え方です。

無理に急がず、抜け毛がおさまってから再開するのが理想的です。

産後の抜け毛をカバーするおすすめの髪型

産後の抜け毛そのものをすぐに止めることは難しくても、見え方を工夫することは今日からできます。

産後の髪は分け目や生え際が目立ちやすくなるため、髪型を少し工夫するだけで印象が大きく変わりますよ。

ここでは、産後の抜け毛をカバーできるおすすめの髪型を紹介します!

見え方をやわらげるスタイリングのコツも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

ショート・ボブで分け目の透け感を抑える

ショートやボブはハネやすく、分け目の透け感が目立ちやすい長さです。

そんなときは、分け目を変えたり、前髪を後ろに流してオールバックにしたりすると、生えかけの短い毛や頭皮をカモフラージュできます。

分け目は固定せず、日によって少しずらすだけでもトップのボリューム感が出やすくなりますよ。

外出時は帽子を活用するのもおすすめです。髪のボリュームダウンを自然にカバーできるだけでなく、産後は敏感になりやすい頭皮や肌を紫外線から守る役割もあります。

キャップやハットを取り入れれば、隠すための対処というよりおしゃれの一部として楽しめますよ。

ミディアム〜ロングでまとめ方を工夫してごまかす

ミディアム〜ロングの長さがある場合は、まとめ方次第で抜け毛部分を目立ちにくくできます。

ひとつに結ぶだけでは分け目が強調されやすいので、以下のように分け目がそのまま見えない形を意識すると効果的です。

・低めの位置でまとめる
・ハーフアップにする
・耳かけで流れを変える

また、トップを指で少しつまんでふわっと崩すだけでも印象は変わります。

きっちり結ばず、あえてラフに仕上げるほうが透け感をカバーしやすく、抜け毛期でも自然に整った見た目に仕上がりますよ。

生えかけの短い毛はヘアバンド・前髪カバーで隠す

産後の抜け毛が落ち着く頃には、生えかけの短い毛がピンピン立って目立ちやすくなります。

そんなときは、ヘアバンドや幅のあるカチューシャ、前髪をふんわり被せるスタイリングでカバーするのがおすすめです。

隠すためではなく、アクセサリーの一部として楽しむ感覚で使えば、気持ちも前向きになりやすくなりますよ。

また、生え始めの短い毛を抑えるためにまとめ髪・アホ毛スティックを持っておくと便利です。

MieuMieu(ミュミュ)エスティックは保湿成分配合※で、練り香水として好きな香りをいつでも楽しめます。※ アルガニアスピノサ核油

サラサラな使用感でありつつ、アホ毛・前髪・おくれ毛をしっかりまとめて、スタイルキープも叶えるマルチスティックです。リップ形状のためポーチにも入れやすく、持ち運びにも便利ですよ。

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産後の抜け毛がひどい・治らないときは医師に相談を。

産後の抜け毛がひどい・治らないときは医師に相談を。

産後の抜け毛は多くの場合、一時的な現象で時間とともに落ち着いていきます。

しかし以下のような進行性の変化がある場合は、早めに医師へ相談することをおすすめします。

・1年以上経っても抜け毛がおさまらない場合
・分け目の地肌が広がる・円形に抜ける

相談先は皮膚科や女性外来が一般的です。

必要に応じてホルモンの状態や頭皮のコンディションを確認してもらうことで、原因に合った適切なケアや治療につながります。

「様子見でよい状態」と「医療相談したほうがよい状態」を切り分けておくことが、安心にもつながりますよ。

福山先生も教えてくださった通り、産後脱毛症や分娩後脱毛症は、女性ホルモンが妊娠期から通常に戻るために多くの人が経験することです。過剰に不安にならず、気になる場合はヘアスタイルを変えるなどしてみることが、抜け毛とうまく付き合っていける秘訣かもしれません。

監修

MET BEAUTY CLINIC院長
日本産科婦人科学会専門医

福山 千代子先生

金沢医科大学医学部卒業。美容医療×婦人科だからこそ取り組むことができる、女性のための提案を行っている。

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