「君色に染まるために髪を染めた」彩田青様

「君色に染まるために髪を染めた」彩田青様

Share

  • Facebook

ホーユーでは「#髪を染めた日」と題して、髪色に関する思い出深いエピソードを募集する創立100周年記念キャンペーンを実施。 応募作品総数2,697点から厳正な審査を重ね、受賞作を決定しています。
こちらの記事では受賞作の全文をご紹介しています。

100周年事務局コメント

好きになったアイドルのメンバーカラーの青色を両耳の上にインナーカラーで入れたとき、「“推し”が耳元にいてくれるような気がした」という気持ちをストレートに表現いただいたエピソードです。推しへの愛情と染めている間のワクワ感が伝わり、特別賞となりました。

  
  


エピソードキャンペーン受賞作
特別賞「君色に染まるために髪を染めた」彩田青様

初めて好きになったアイドルは、青色担当だった。

当時小学生だった私はメンバーカラーなんていう概念がわからず、
「青色を担当するの…?どういうこと…?」なんて思っていたのだが、しばらくするとその「メンバーカラー」という概念にどっぷり浸かることになる。
メンバーカラーは、そのアイドルのもうひとつの化身みたいなものだと思っている。

1番手っ取り早く、かつ激しく主張しすぎないで、「この人が好きです」と周りに示せるものがメンバーカラーだ。ライブ会場で、推しの顔を全身に纏わなくても、少し、自分の担当カラーを入れるだけで
「あの人は〇〇さんが好きなんだな」と思わせることができる。

また、色には不思議な力があると思っていて、リーダー的存在には赤、知的な存在には青、元気な存在には黄色、大人っぽい存在には紫、みたいなイメージが人によってあると思う。

メンバーに担当カラーが振り分けられた時、その色はただの絵の具チューブから出した赤でも、パソコンのフォント変換で出てくるカラーチャートの青でもないメンバーの人柄やキャラクターなどまでも包括した色になっていくのだ。

そこから私の持ち物は全てが青色になっていった。新しく買ったワンピースも青、新しく買った鞄も青、ヘアアクセも青、ハンカチも青、スマホケースや手帳に至るまで全てが青かった。でもそれは単なる「青」ではなくて、「彼の全てを包括した色」として私の中で機能していた。

だから髪を染めようと思った時、私はいつも大好きな彼のメンバーカラーを思い浮かべていた。
髪に綺麗に青色を入れるためには、ブリーチを2回はしないといけない。
私はそのためにお金を貯めて、地毛の黒髪を活かしつつイヤリングカラー(耳の後ろの髪の毛だけカラーすること)をした。ブリーチをするのは髪の毛が痛むと分かっていながらも、そうしてでも青色にしたかった。

ブリーチしている間、若干の頭皮のヒリつきを感じながら、もうすぐ青くなれる、とワクワクしたのを覚えている。
真っ青なカラー剤を美容師さんが持ってきた時、彼の色に染まれると恍惚したのを覚えている。
体の一部を彼の色に染めるということは、彼に身を捧げる1番ライトな方法だと思っていた。

髪が青くなった。耳の後ろだけ青くて、髪をかきあげると青い髪が見える。
まるで彼が後ろからずっと見守ってくれてるかのような、耳元で時々囁いてくれているかのような、そんな安心感とときめきで心がドキドキした。

友人に、「やっぱり青が似合う」と言われた時、「彼にお似合いだよ」と言われているみたいでとても嬉しかった。

今は色が落ちてエメラルドグリーンのような色になっている。

次に青を入れるときは、残っている青色も相まってきっともっと青色が濃くなる。
もっと君に近づく。もっと君色に染まるんだ。

  
  


皆様より、応募いただいたエピソードはヘアカラー文化をつくる貴重なストーリーとしてホーユーで大切に保管・活用させていただきます。 たくさんのご応募ありがとうございました。

ページ上部へ