「赤ワイン酵母エキス」に抜け毛の抑制に効果があることを発見

研究・調査

ホーユー株式会社(名古屋市東区)は、愛知医科大学皮膚科学講座の渡辺大輔教授らのグループとの共同研究により、「赤ワイン酵母エキス」に頭皮の赤みが原因で生じる抜け毛の抑制に効果があることを発見しました。

img_0109_01.jpg一般的に「美しい髪は健康な頭皮から」といわれていますが、頭皮の健康状態と毛髪の関係については実証されてはおりません。そこで、頭皮の赤みと抜け毛についての調査を実施しました。
頭皮の赤みは本人では気が付きにくい頭皮トラブルです。しかしながら、頭皮に赤みを生じている人は7割以上にも達しており、近年、頭皮の赤みはフケ(約2割)よりも多く見受けられる頭皮トラブルになっています。
当社が頭皮の赤みについて調査を進めたところ、頭皮に赤みのある部分は健康な部分と比較して頭皮の水分が蒸散しやすく、頭皮のバリア機能※1が低下している部分であることがわかりました。さらに、頭皮の赤みと抜け毛に着目した調査において、頭皮に赤みのある範囲が広い人ほど、異常な毛根をもつ抜け毛が多く観察されました。また、この異常な毛根はヘアサイクル※2の途中で脱落した抜け毛であることがわかりました。これらの結果より、頭皮の赤みは頭皮のバリア機能を低下させ、ヘアサイクルの乱れた抜け毛を増加させる頭皮トラブルの1つであると考えられます。

img_0109_02.gif一方、赤ワインを製造するときに使用される酵母“サッカロマイセス・セレビシエ”から抽出した「赤ワイン酵母エキス」に、皮膚のバリア機能を改善させる効果があることがわかりましたので、この成分が頭皮の赤みの改善や抜け毛の減少にも有効ではないかと考えました。
そこで、「赤ワイン酵母エキス」を配合したシャンプー、ヘアトリートメント、頭皮用のローションを1ヶ月間使用して、皮膚の水分蒸散量や頭皮の赤みの範囲、抜け毛について調査しました。1ヶ月間使用した結果、頭皮のバリア機能が改善され、頭皮の赤みの範囲が減少しました。さらに、異常な毛根をもつ抜け毛の割合は減少し、抜け毛の本数も減少しました。
当社はこれらの技術を頭皮ケア商品を中心としたヘアケア商品へ積極的に活用してまいります。

※1 バリア機能とは、皮膚の水分の蒸散を防ぎ、皮膚を健康に保つ役割のことです。また、バリア機能が低下すると、外部刺激を受けやすい状態になります。
※2 ヘアサイクルとは、一本の毛髪が生えてきてから抜け落ちて、再び同じ毛穴から次の毛髪が生えてくるまでをいいます。一般的に女性の場合4~6年で、男性の場合3~5年で生え変わるといわれています。

研究成果

(1)頭皮の赤みと抜け毛との関連性

以前までの主な頭皮トラブルはフケでしたが、近年の頭皮トラブルを把握するために、20~39歳の男女計82名を対象にして、頭皮で生じているトラブルを目視にて観察しました。その結果、頭皮に赤みを生じている人は全体の7割以上にも達しており、フケ(約2割)よりも大きく上回っていました。多くの人の頭皮で赤みが確認されたため、頭皮の赤みについてさらに研究を進めました。
まず、頭皮の健康な部分と赤みのある部分との皮膚機能の違いについて様々な比較調査を行いました。その結果、頭皮に赤みのある部分は健康な部分と比較して頭皮の水分が蒸散しやすく、頭皮のバリア機能が低下している部分であることがわかりました。

img_0109_03.jpg次に、頭皮のバリア機能が低下した赤みのある頭皮と毛髪の代表的な悩みである抜け毛について調査を実施しました。その結果、頭皮に赤みのある範囲が広い人ほど、異常な毛根をもつ抜け毛が多く観察されました。この異常な毛根は、主に乾燥性の脱毛症で認められる毛根と同様の形態でした。通常、自然に脱落した抜け毛は休止期を経て正常な毛根として抜けます。一方、観察された異常な毛根はヘアサイクルの退行期で脱落した抜け毛であることがわかりました。
以上の結果より、頭皮の赤みはヘアサイクルの乱れた抜け毛を増加させる頭皮トラブルの1つであると考えられます。また、頭皮の赤みは本人では直接確認しづらく、他人からも髪に隠れてすぐには確認できないため、一般的に認知度は低いと考えられます。
なお、(1)の研究成果を、「日本薬学会第129年会」(2009年3月26日~28日、京都にて開催)にて発表しました。

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(2)皮膚のバリア機能を改善する技術の開発

(1)にて、頭皮の赤みのある部分は頭皮のバリア機能が低下しており、ヘアサイクルの乱れた抜け毛を増加させることがわかりましたので、まずは皮膚のバリア機能を改善する技術を開発することにしました。その結果、赤ワインを製造するときに使用される酵母“サッカロマイセス・セレビシエ”から抽出した「赤ワイン酵母エキス」に皮膚のバリア機能を改善する効果があることがわかりましたので、さらに鋭意研究を行いました。
25~58歳の男女計16名を対象にして、「赤ワイン酵母エキス」を配合した外用剤を全身のいずれかの部位に毎日2回使用してもらい、使用開始日と使用1ヶ月後の皮膚機能について、様々な測定を行いました。
その結果、「赤ワイン酵母エキス」を配合した外用剤を1ヶ月間使用することで、皮膚の水分蒸散量が減少し、皮膚のバリア機能が改善することを明らかにしました。

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なお、(2)の研究成果を、「日本薬学会第132年会」(2012年3月28日~31日、札幌にて開催)、および「第30回日本美容皮膚科学会・学術大会」(2012年8月18日~19日、名古屋にて開催)にて発表しました。

(3)頭皮のバリア機能の改善に伴う頭皮の赤みの改善と抜け毛の減少の確認

(2)にて、「赤ワイン酵母エキス」に皮膚のバリア機能を改善する効果があることがわかりましたので、この成分が頭皮の赤みの改善や抜け毛の減少にも有効ではないかと考えました。
22~41歳の男女計21名を対象にして、始めに皮膚の水分蒸散量や頭皮の赤みの範囲、抜け毛について調査しました。次に、「赤ワイン酵母エキス」を配合したシャンプー、ヘアトリートメント、頭皮用のローションを1ヶ月間使用してもらい、使用終了後、皮膚の水分蒸散量や頭皮の赤みの範囲、抜け毛について再度調査しました。そして、使用前後での変化を統計解析しました。
1ヶ月間使用した結果、頭皮のバリア機能が改善され、頭皮の赤みの範囲が減少しました。さらに、異常な毛根をもつ抜け毛の割合は減少し、抜け毛の本数も減少しました。

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使用開始日使用1ヶ月後変化率有意差※3
皮膚の水分蒸散量(g/m2h)

13.9 ± 3.85

12.6 ± 3.27 -9.35% *
頭皮の赤みの範囲(%)

70.3 ± 31.0

44.6 ± 33.3 -36.5% ***
異常な毛根の割合(%) 36.6 ± 11.6 31.4 ± 12.9 -14.2% ***
3日間の洗髪中の抜け毛の本数(本) 219 ± 138 187 ± 140 -14.8% *


※3 *: P<0.05, **: P<0.01, ***: P<0.001(対応のある t 検定)

なお、(3)の研究成果を、「第67回日本化粧品技術者会研究討論会」(2010年11月30日、東京にて開催)、および香粧品科学分野の国際的な研究発表会である「第21回IFSCC※4バンコク中間大会」(2011年12月12日~12月14日、タイ・バンコクにて開催)、および「IFSCC2011バンコク中間大会・報告会」(2012年7月6日、大阪にて開催)にて発表しました。

※4 IFSCC:The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists(国際化粧品技術者会連盟)

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